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最も危険な神器「ゴールドX」

ゴールドX筐体

時は2003年、4号機AT機は狂気の荒波スペック台が市場を席捲した事が問題となり全国で出玉規制が敷かれていました。ユーザーから人気のあった「アラジンA」・「サラリーマン金太郎」・「ミリオンゴッド」が撤去の対象とされ、後継機の開発はパチスロメーカー各社の急務となっていました。

そんな中パチスロ機の出玉性能を極限まで偏らせた狂気の1台「ミリオンゴッド」の後継機として世に送り出されたのが「ゴールドX」でした。

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ゴールドX

基本スペック

基本的には前作のミリオンゴッドのゲーム性を受け継いでいます。ATの純増枚数は約10枚、ATワンセット30Gで約300枚程ゴッド揃いなら約3000枚の獲得が可能となっています。

通常時の仕様も変更されており、初代では全く揃わなかった順押しリプレイが揃う様になりコイン持ちも大幅に上がっていました。

GG(ゴッドゲーム)

PGGが100Gor300G、GGはワンセット10Gor30Gとそれぞれゲーム数が短くなり出玉性能は前作より抑えられていました。

PGG確率は設定①から⑤までがお馴染みの1/8192、設定⑥のゴッド揃いは1/16384でした。SGG確率は設定①から⑤までが1/4096、設定⑤が1/8192、設定⑥が1/16384となります。

GGのゲーム数振分けは設定⑥のみ0.01%で10Gの振分けが存在、PGGのゲーム数振分けは設定①から④は300Gのみ、設定⑤が100Gと300Gで50%づつ、設定⑥が97.7%で100G、2.3%で300Gとなっていました。

天井

天井は設定に応じて26種類の天井選択テーブル、第1天井から第4天井までで1500G~4200Gの振分けが存在、天井ゲーム数は初当たりGG成立時のみリセットされ、第1天井が発動しても初あたりGGが成立していない場合は第2天井以降(第4天井まで)の抽選が受けられます。

通常時の挙動

■低設定時
確定役を引いた際の連チャン力は高いが、高確モードへの移行がほぼ望めないので1000G以上の大ハマりを繰り返す。

■高設定時
確定役を引いた際の大連チャンはさほど望めないが、高確モードへの移行がしやすく大ハマりしにくい、単発~3連位のGG連が多くみられる。

ゴールドXの欠陥

ゴールドXには通常時の液晶演出に法則性があり、ある手順を踏むと通常時のベースが100%を超えてしまうという致命的な欠陥が存在していました。

どんな欠陥だった?

前作のミリオンゴッドもそうでしたが、順押し15枚役成立時には液晶に偶数黄色が揃います。この時当然、第一停止時には液晶の左の数字は偶数黄色になるわけです。

この演出法則から第一停止時に液晶に赤奇数が止まった場合は順押し15枚役が否定されます。

したがって第一停止に液晶が赤奇数の場合はペナ覚悟で順押し以外で消化すれば15枚役をGET出来る可能性があがるという事になります。

それ以外にも…

・左リールに青⑦が停止した場合は順押し
・液晶に⑦が停止した場合は順押し
・逆押しナビ発生時は無視して順押し
・液晶演出発生時は逆押し
・PGG・SGGの可能性が有る場合は順押し
・逆押し消化で右第1停止時に液晶出目が偶数ならそのまま逆押し、奇数なら逆ハサミ

上記の様な法則が存在し、それを駆使する事で通常時でもコイン持ち現状維持以上で通常ゲームを消化する事が可能となります。

順押し以外の押し順で消化すると数ゲーム間ペナルティーが発生しAT抽選が行われない状態になってしまいますが、ゴールドXのペナルティーは天井ゲーム数に影響が無くPGGとSGGの抽選やリプ連による特殊抽選も受けられたので、通常時変則打ちを駆使しながら消化した際の勝率はほぼ100%でした。

ホールの対策

ゴールドXの攻略情報は導入から数日でネットを通じて瞬く間に全国へ拡散され、ホール側も直ちに対策を打ちました。

変則打ちをすればリール停止時に警告音が鳴り液晶に警告画面が表示されてしまいます。
この警告をほぼ毎ゲーム出しながら遊戯していて通常時メダルが減らないとなったら、怪しさMAXで当然ながら店員さんからマンマークされる事になります。

無視して打ち続ければおそらく遊戯停止から強制退店、出入り禁止の流れとなった事でしょう。

こんな状態のゴールドXの島をホール側は放置する訳がなく、導入から数日で全国的にゴールドXの島は閉鎖されてしまう事になります。

メーカーの対策

致命的なバグを抱えながらホールに登場してしまったゴールドXは導入から数日で全国的に稼働停止となってしまいました。しかしこの不良品と言ってもいいような台を提供した販売元のアルゼ(ミズホ)のずさんな対応により事態は更に悪化してしまうのでした。

情報がネット上に拡散された直後にメーカー側から店舗に対して公安委員会に遊技機の変更承認申請を行わない「無承認変更」での台のサブ基盤の交換を行おうとしました。

ぱちんこ営業者は、遊技機の増設、交替その他の変更(軽微な変更を除く。)をしようとするときは、あらかじめ都道府県公安委員会の承認を受けなければならないこととされています。https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/fuzoku/game_machine1.html

その後、液晶の左図柄を隠すシールを配布する事で受け取ったホールはメーカーからの対策に応じたという既成事実を作ろうとすると、これに対し全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)はこの対策に応じると今後の保証が受けられなくなる為、この対策に応じないよう組合傘下のホールに異例の通達を行いました。

全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)
https://www.zennichiyuren.or.jp/

更には今回のゴールドX関連の対応に関しての通達文書の冒頭で自社のプログラミングの不備を棚上げし変則打ちをゴト行為と位置付けし、パチスロユーザーを犯人扱いしてしまいます。

あまりにも不適切で誠意のない対応に各方面から非難が殺到し大炎上します。

憤慨したの業界団体やホール関係者は全日遊連を中心とする「アルゼ(株)に対し責任を追及する会」を結成し、アルゼに対し損害賠償を求める民事訴訟を起こす事態にまで発展します。

この民事訴訟では各方面でアルゼ側の敗訴が確定、あるいはアルゼが和解金を支払う形で和解が成立するケースが多かったと言われています。

ゴールドXR

ゴールドXの一連の騒動が落ち着くとバグ対策版としてゴールドXRが発売されました。
発売が初代北斗の拳の導入と同時期だった事やホール側の信用が失墜してしまっていた事もあり、導入当初設置台数が伸び悩みましたが、北斗人気が落ち着いて来た頃から徐々に設置を伸ばしていき、ミリオンゴッドの後継機としてプレイヤーからも認知される機種となりました。

ゴールドXはこのような紆余曲折を経て、実際に設置され実稼働した期間はほんの数日だったというのに業界全体を巻き込んだ一大事の発端になった機種として、当時を知る人の間では伝説の機種として語り継がれるのでした。

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